お知らせ

4月9日U-NEXT UFC287

生配信の解説をやらさせて頂きます。

メインのペレイラVSアデサニアのダイレクト・リマッチ。
前回は衝撃の結末でしたが、試合をあらためてじっくり観直してみたところ色んな事が浮かび上がってきたので、共有したいと思います。

ダイレクトリマッチの場合、選手は、まずは前回の試合を元に修正、戦略立てを行うので、この自分なりの考察が皆さんにとって今回の試合を楽しむ為の材料になってもらえれば幸いです。

まず、最初に大筋の部分で、

○ ペレイラは得意の左フックを当てたい→アデサニアは絶対もらいたくない

○ アデサニアはサイドステップやスウェーでずらして打撃を当てたい→ペレイラは縦(まっすぐ前後)のプレッシャーなので。

が前回の試合前にはあったと思われます。

では、1R目の攻防から。

お互い足技を使って顔面に打撃を当てるタイミングと距離を掴もうとする。

○ペレが左フックを放つがアデは見切る、が数回。ただ明らかに嫌がっている。
○アデ、ペレの攻撃終わりにワンツーを合わせる、軽く当たるが倒すまでには至らず、が数回。

この二つが後にこの試合の鍵に。

★念の為、ですが、前手のフックはヒットした時に体が押し戻されてしまうと威力が半減するので、そうならない様にする為に足の位置、角度、肩と骨盤の入れ具合、等のバランスを整える必要があり、ペレはその辺りを熟知しているからあれだけKOを重ねてこれているのだと思います★

終盤、プレッシャーでケージまで追い込んだペレが左フックを軽く当てる。
嫌ったアデが四つ組。

⭐︎アデ自ら組みに行く姿自体珍しいが、余裕を持ってコントロールしているところから、組みの展開は行けると感じ取ったと思われます⭐︎

分かれた後、ジャブ(前手でペレの首元を押さえて)と右ストレートの間に間を入れてヒット。ペレ、グラつく、で1R終了。

⭐︎普通にワンツーを打っても反応されてしまうのを感じたので、タイミングをずらしたやり方に変えた。
ここで重要になるのが、これは事前に用意していたのか、その場のひらめきで出したのか、どっちなのか⭐︎

2R目
アデ、1R終了間際に使った技を構えをサウスにして出す。
⭐︎これをメインウェポンにする為に変化を付けて、見切られない様に工夫していると思われる⭐︎

2分ころ、ペレのジャブが当たり始める。当てられたアデ明らかに動揺している。
⭐︎ペレはアデがフックを極度に警戒しているのを感じて体の向きをフックと同じ状態(フェイント)にして当てた。アデは腕を上げてフックのディフェンスをしていたのでこのフェイントが有効なのをペレは感じ取ったと思われます⭐︎

アデ、組みに行く。四つ組からやぐら投げも見せている。
⭐︎組みの展開は余裕がある⭐︎

ペレ、分かれてからもジャブは当たり、左フックも軽くだが当たり出す。
アデ、明らかに嫌がって組む。

分かれて、ペレが縦のプレッシャーを掛けておいてから片足タックル→ハイクラッチ→両足タックル→レッグドライブでテイクダウンに成功、トップキープでブザー。
⭐︎この技はチームメイトのテイシェイラの得意技なので、彼から授かったのだと思われます⭐︎

3R目
アデ、開始間もなくジャブ→間→右ストレートを数発出している。
⭐︎2R目を取られたのでこのRで山を作ろうとしている⭐︎

ペレ、組んで左にスイッチしながら腹に右ヒザを当てる。効いたアデが離れようとした所を追いかけていったらアデに組まれて、バランスが崩れた状態のまま大外刈りに行ってしまい逆にテイクダウンされる。
⭐︎アデ、開始1分くらいの所だったので、あとは無理せずトップキープに終始する。1R目で組み展開は大丈夫と踏めたのが心理的にも大きい⭐︎

4R目
ジャブ→間→右ストレートでプレッシャーをかけるアデ。
ペレ、取り返さないと、との思いから出した左フック、狙い過ぎで逆に当たらない。
ジャブは当たるが倒すまでにはいかない。
アデ、タックルフェイントを出す余裕も生まれる。
⭐︎ペレ、左フックを当てる為のセッティングで縦のプレッシャーをかけ続けたのと、組まれるのは嫌だ、の意識から次第に疲れが見え始める⭐︎

5R目
ペレ、倒しに行く為に前に出るが、出した右ストレート、疲れから体の制御が上手くできていない(体が流れ出している)。

アデ、ペレの体が流れるのを見て疲れて来ているのを認識。組みで時間を使いだす。

分かれてから、5R開始1分くらいの所、アデ、ペレの前進を止めるために出した右ロー、ペレにヒザでカットされ痛める。
⭐︎ペレは疲れて来ているのでヒザの向きを変えてのこのカットはしてこないだろうと思っていた?⭐︎

倒すチャンスと見たペレ、プレッシャーを強めてケージに追い込み、右ストレートを当ててから左フック、効いた所をラッシュをかけてレフェリーが入った。
⭐︎左フックは、疲れていても必ず倒せる必殺技だと言う事がここから分かる⭐︎

自分には以上の様に見えました。
あの濃厚な5Rの中には、双方の色んな思惑があったのだと思います。

そして、その時の感触のまま、勝つ為に厳しいトレーニングキャンプを二人は行ってきた事でしょう。

そんな二人のこの試合、自分は敬意をもって解説をさせて頂きたいと思っております。

なお、今回の試合で自分が注目しているポイントを一つあげるなら、

○ペレ、アデは左フックを更に警戒してくれるため、それを逆に利用して使う、どんな武器を用意してきたのか?
○アデ、通用した右ストレートを当てる技は今回更にブラッシュアップさせる事ができたか?
また組みの展開をどれくらい混ぜてくるのか?

です。

ただ、この考察など軽く超えたものを二人は魅せてくれることでしょう。

楽しみに待ちましょう!

高阪 剛

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